タイで働くためのビザー現地採用歴15年が語るリアルと対策

「タイで働きたい!」そう思って求人を探し、内定をもらった後に、多くの人がぶつかる最初の壁。それが就労ビザ取得です。観光ならノービザで簡単に渡航できるタイ。でも、“働くため”のビザと許可証がなければ、現地で仕事を始めることはできません

この記事では、タイで働くうえで知っておくべきビザと労働許可証の基礎知識から、実際にありがちな落とし穴まで、リアルな視点で解説していきます。

💡この記事のポイント

  • タイで働くには「ノンイミグラントBビザ」「労働許可証(ワークパーミット)」の2つが必須
  • 取得に必要な「書類・申請手順5ステップ・費用相場」がわかる
  • 現地採用15年の実体験に基づく「90日ルールの注意点や更新時の落とし穴」まで網羅

  1. タイ就労ビザ(Bビザ)とは?労働許可証との違い
    1. ノンイミグラント・ビザ・B(Bビザ)とは
    2. 労働許可証(ワーパミ)とは
  2. 必要書類一覧【チェックリスト】
    1. Bビザ必要書類
    2. 労働許可証必要書類
  3. タイ就労ビザの費用はいくら?
  4. ビザ申請〜ビザ&労働許可証取得までの5ステップ
    1. STEP 1:在外タイ大使館・領事館でBビザ(非移民ビザB)を取得
    2. STEP 2:タイに入国し「90日間の滞在許可」を得る
    3. STEP 3:タイ国内で労働許可(ワークパーミット)の申請
    4. STEP 4:労働許可(ワークパーミット)の受領
    5. STEP 5:イミグレーションでビザを「1年間の滞在許可」へ延長
  5. 90日ルールと更新手続きの注意
    1. 1. 90日レポート(居住地報告)
    2. 2. 90日ビザ(初回滞在許可)の更新
    3. ビザとワーパミ更新時の注意点
  6. よくあるトラブルと対策
    1. 就職=ビザサポートありではない
    2. 新卒者は要注意
    3. 渡航費・ビザ取得費用は?
  7. 【体験談】現地採用15年が見たビザ取得のリアル
    1.  初回ビザは90日しか出ない?
    2. 大企業は専属ビザサポートチーム任せでラクラク
    3. 小規模企業では自力申請
    4. 人事やエージェントを味方に
  8. Bビザを持つとできること
    1. 運転免許証の取得・切り替え
    2. 銀行口座開設・クレジットカード申請
  9. ビザなしでは働けない
    1. その他のビザ
      1. DTV(デスティネーション・タイランド・ビザ):
      2. タイ人配偶者ビザ(Non-Immigrant O – Thai Spouse):
      3. スマートビザ
      4. 長期滞在者(LTR)ビザ
  10. まとめ ─ ビザを制する者がタイ就職を制す!

タイ就労ビザ(Bビザ)とは?労働許可証との違い

日本パスポートはタイに観光で入国する際にはビザ(査証)は必要ありません。2026年9月現在、ビザなし(ノービザ)でも60日間滞在することができます。ただし、新制度施行のため2026年9月15日以降は「最長30日間」までのビザ免除措置となりますので、ご注意ください。

タイで働くためには、以下の2つがセットで必要です。

日本語 英語 通称
1.ノンイミグラント・ビザ・B Non-Immigrant Visa “B” B-ビザ
2.労働許可証 Work Permit ワーパミ

ノンイミグラント・ビザ・B(Bビザ)とは

「Non-Immigrant B(Business)ビザ」とは、就労目的でタイに滞在する人向けの滞在ビザ。就職先が発行するサポート書類をもとに、タイ大使館(日本または第三国)で申請する、労働許可証とセットで運用される前提のビザです。

労働許可証(ワーパミ)とは

労働許可証とは、タイで労働をすることを合法的に許可する文書で、雇用先と職種が明記されています。就職先が労働局に申請し、発行されるパスポートサイズの冊子のことです。

Bビザを取得しただけではタイで仕事はできません。必ず労働許可証(ワーパミ)が必要です。

必要書類一覧【チェックリスト】

基本的に申請者が用意できるものと雇用主に用意してもらう書類が異なります。用意するのに時間がかかる書類もありますので注意が必要です。

Bビザ必要書類

書類名 準備する人 注意点
申請書 本人 オンライン申請(E-Visa)画面上で作成・入力。スペルミスや記入漏れがないか事前確認。
パスポート原本 本人 有効期限が6ヶ月以上残っていること。余白ページ2ページ以上。
パスポート顔写真ページコピー 本人 顔写真・氏名・パスポート番号・署名枠が鮮明に写っていること。
英文経歴書 本人 英語で作成。学歴および直近の職歴を明記。
証明写真(2枚) 本人 直近6ヶ月以内に撮影、背景は白。指定サイズ(通常3.5cm×4.5cm等)に注意。データ添付が必要な場合あり。
航空券または予約確認書 本人または会社 タイ入国日・便名・搭乗者名(英文)が記載されたEチケット控え(予約・発券済み)を用意。片道可
タイ側からの英文招聘状(Invitation Letter) 会社(雇用主) 会社の公式レターヘッドを使用し英語で作成。代表者の署名および社印(コーポレートスタンプ)が必須。
会社登記簿謄本のコピー 会社(雇用主) 発行から一定期間内(通常6ヶ月以内)の最新のもの。全ページに授権署名者のサインと社印が必要。
在大阪領事館ウェブサイト
申請をする国、大使館、企業によっても必要書類が異なりますので必ず確認してから申請してください。

労働許可証必要書類

書類・情報 準備する人 注意点・詳細
パスポート原本&コピー 本人  
証明写真(3枚) 本人  
健康診断書 本人 タイの医師による発行
英文卒業証明書・職歴証明書 本人  
申請者の個人情報(日タイの住所・予定給与) 本人  
会社登記証書一式・株主リスト 会社(雇用主) 新設会社の場合は株主リストが重要な評価書類となる。
年次所得申告書・決算書 会社(雇用主)  
社会保険料支払い申告書の写し 会社(雇用主)  
会社業務説明書 会社(雇用主) 事業内容を証明するパンフレット、組織図、オフィスの外観・社内業務風景の写真など。
工場操業許可証(※製造業のみ) 会社(雇用主) 製造業(工場)の場合に必要
BOI(タイ投資奨励委員会や)の奨励を受けている企業やIEAT(タイ工業団地公社管轄の工業団地に入居している企業の場合、提出書類や申請プロセスが異なりますので、必ず会社に確認をしてください。

タイ就労ビザの費用はいくら?

タイで働くために必要なビザや労働許可証の取得費用は、公的な申請手数料に加えて、会社が代行業者(ビザエージェント)を利用するかどうかによって変わります。

日本で取得するBビザ申請料金はThai e-Visaサイト上でのクレジットカード(日本円)決済となり、現地で取得・延長する手続き費用はタイバーツ(現金等)での支払いとなります。主な費用の目安は以下の通りです。

項目・手続き名 金額(バーツ) 日本円の目安*
Bビザ(シングル)[日本で取得] -(日本円決済) 11,000 円
Bビザ(マルチプル)[日本で取得] -(日本円決済) 26,000 円
労働許可証(ワークパーミット 1年) 3,100 THB 約 14,880 円
ビザ1年延長(タイ国内で手続き) 1,900 THB 約 9,120 円
代行を頼む場合の相場(エージェント料) 15,000 〜 35,000 THB 約 72,000 〜 168,000円

*1バーツ=4.8円(2026年8月時点)
*日本での申請料金は在東京タイ王国大使館等の公定料金に基づく。
*タイ現地での費用は公的機関(労働局・イミグレーション)の法定費用。

エージェント代行料はサポート内容(書類作成のみ、イミグレ同行の有無、急ぎ対応など)によって料金が変わります。一般的には企業側が負担するケースが多いです。

ビザ申請〜ビザ&労働許可証取得までの5ステップ

STEP 1:在外タイ大使館・領事館でBビザ(非移民ビザB)を取得

E-Visaサイトからオンラインで申請をします。申請から支払い、受領までオンラインで完結します。承認されると「90日間の滞在許可」が得られるビザが発給されます。

STEP 2:タイに入国し「90日間の滞在許可」を得る

空港の入国審査でパスポートに90日間の滞在許可スタンプが押されます。ここからタイ現地での手続きがスタートします。

STEP 3:タイ国内で労働許可(ワークパーミット)の申請

現地病院での健康診断受診後、労働局へ必要書類を提出して申請します(※初回有効期限はSTEP2のビザ期限と同日になります)。

STEP 4:労働許可(ワークパーミット)の受領

審査完了後、労働局(または指定窓口)へ出向き、写真撮影・本人確認を行って労働許可証(またはデジタルWP)を受領します。

STEP 5:イミグレーションでビザを「1年間の滞在許可」へ延長

ビザとワークパーミットの期限が切れる前に、タイ入国管理局(イミグレーション)で「入国日から起算して1年間」の滞在許可へ延長申請を行います。

90日ルールと更新手続きの注意

タイで就労ビザを取得した後に多くの人が混乱するのが「90日」に関する2つの手続きです。同じ「90日」という言葉が使われますが、全く別のルールのため正しく理解しておきましょう。

1. 90日レポート(居住地報告)

タイ国内に「連続して90日間」滞在する全外国人に義務付けられている現住所の届出です。ビザの更新とは異なり、単なる居所確認の手続きとなります。
期日の15日前〜7日後にイミグレーションやオンラインで申請します。うっかり期日を過ぎると罰金(2,000バーツ〜)が発生するので注意が必要です。なお、途中でタイ国外へ出張・旅行などで出国した場合はカウントがリセットされ、再入国した日が「1日目」として再スタートします。

2. 90日ビザ(初回滞在許可)の更新

日本で取得した初回Bビザでタイに入国した際、パスポートに押される「90日間の滞在許可」のことです。この90日は、タイ現地でワークパーミットを取得し、ビザを1年延長するための準備期間にあたります。
こちらは途中で国外へ出ても期限が伸びることはありません。この90日の有効期限内にすべての手続きを完了させないと、オーバーステイ(不法滞在)となりビザが失効してしまいます。

「90日レポートの届出日」と「ビザの有効期限」は別物としてスマホのカレンダーなどにメモしておき、特にビザの1年更新は期限の1ヶ月前から余裕を持って準備を進めることが大切です。

ビザとワーパミ更新時の注意点

  • パスポートの残存期限に注意:残存期間が1年未満の場合、その期限日までしかビザが延長されません。事前にパスポートの更新を行いましょう。
  • ビザ更新後はリエントリーの取り直しが必要:旧ビザで取得していた再入国許可(リエントリーパーミット)は失効します。ビザ延長完了後、必ず新ビザで申請し直してください。
  • 会社側書類の遅れ:会社都合で書類準備が遅れることもあるため、1ヶ月前から人事へ声かけをしておくと安心です。

よくあるトラブルと対策

最近よくあるのが、就職が決まったのに会社がBビザやワークパーミットの手続きを一向に進めてくれない、ビザ取得のための旅費が全額自己負担だった、といったトラブル。

海外では「自分の身は自分で守る」が基本。事前に会社とビザ取得に関する取り決めをしっかり確認しておきましょう。

就職=ビザサポートありではない

「内定が出れば自動的にビザサポート付き」と思っていた方が、会社から「自分で取得して」と言われ、慌てるケースもあります。必ず就職の際には「ビザサポートありかどうか」事前に確認を。

特に会社側に用意してもらう書類が多いため、ビザ申請は自己完結が難しく、ビザサポートの有無は非常に重要なポイントです。

新卒者は要注意

タイでは、大学卒業+実務経験がBビザ取得の条件になっている場合が多く、新卒ではBビザ取得のハードルが高いこともありますので要注意です。

渡航費・ビザ取得費用は?

企業によっては取得にかかる費用や渡航費を負担してくれないケースも。求人時に「ビザサポートあり」と書いてあっても、具体的に「どこまで支援してくれるか」の事前確認は必須です

【体験談】現地採用15年が見たビザ取得のリアル

過去に4度ほどビザ申請を国外大使館で行ってきた筆者のリアルな声を共有いたします。

 初回ビザは90日しか出ない?

筆者が最初にBビザを取得したとき、パスポートのビザ判子ページに記載されたのは90日間のみ大使館でのBビザは90日しか出ず、その後タイ入国後に、ワークパーミットとセットで1年間の延長手続きが必要ということを知らなかったため、3ヶ月しか働けないのかとかなり焦って人事担当に国際電話しました。

「大丈夫大丈夫、90日後にタイ国内で延長するから」

その言葉に救われたのは言うまでもありません。

大企業は専属ビザサポートチーム任せでラクラク

大手外資系企業では、専属のビザサポートチームが全て代行してくれました。外国人が入れ替わり立ち替わり何十人も働いていたので、書類準備も更新時の整理券ゲットまでノンストレスで進められます。

小規模企業では自力申請

反対に小規模の企業では、一人でイミグレーションに行かされたり、労働局に行って手続きしたことも。タイ語でのやり取りも必要で、まさに“体当たり”。イミグレーションのスタッフはお世辞にも優しいとは言えない対応でびっくりもしましたが、自分で手続きの流れや必要書類を理解できたのは良い経験でした。

人事やエージェントを味方に

多くの駐在員や直属の上司は、実はビザのことに無関心・無知な場合も。人事や総務担当者としっかり関係を築くことが、ビザ取得のカギになります

特に現地採用で働く場合、ビザ担当者と良い関係を築いておくと今後の手続きや更新の際に詳しく教えてくれたり、予定に融通を効かせてくれるなんてこともありますのでおすすめです。

Bビザを持つとできること

Bビザとワーパミを取得すると、観光ビザとは違い、生活面でもメリットがあります。単に働くためのビザ、ではなくタイの社会の一員としての信用を得られるのがBビザです。

運転免許証の取得・切り替え

Bビザがあると、日本の免許証または国際免許証をタイの運転免許へ書き換えすることが可能です。

写真付きのIDがパスポートしかない日本国籍の私たちにとって、写真付きIDに匹敵するカード(=タイの運転免許証)を手に入れられると非常に便利です。

何かをレンタルする際や、オフィスビルへの入館の際などに写真付きIDを求められることがあり、パスポートを預けるのには抵抗がある、、、という時にタイの運転免許証が役に立ちます。

銀行口座開設・クレジットカード申請

この2つもBビザがあれば申請することができます。

銀行口座は給与の振込先としても必要になります。また、タイではキャッシュレス化が急速に進んでおり、銀行アプリなどのモバイル送金サービスが日常生活に欠かせません。銀行口座やクレジットカードと連携して、QRコード決済や送金、公共料金の支払いなどがスマホひとつで完結できます。

クレジットカードについて、「日本のものがあるから大丈夫」と思う方もいるかもしれませんが、タイ国内での信用履歴を作る意味で、現地のカードを持っておくと便利です。

特にネットでの予約、プロモーションの適用など、タイ発行カード限定の特典も多くあります。

ビザなしでは働けない

最近、SNSでは「フリーランスとしてタイで仕事してます!」という投稿を見かけますが、原則としてタイで報酬を得る活動にはBビザと労働許可証が必要です。

ですがその他の働ける可能性のあるビザもいくつか存在します。

その他のビザ

DTV(デスティネーション・タイランド・ビザ):

ノマドワーカーやリモートワーカー向け。オンラインで働くことは可能ですが、滞在期間やその他に制限があります。

タイ人配偶者ビザ(Non-Immigrant O – Thai Spouse):

タイ人の配偶者であれば、労働許可証を申請することができます。ただし、駐在員の帯同配偶者が持つOビザでは就労不可です。

スマートビザ

特定の重点分野(デジタルや医療等)で事業を行うスタートアップ起業家向けの優遇ビザ。ワークパーミット不要で就労が可能です。スタートアップ経営者の配偶者もワークパーミット不要で働けるメリットがあります

長期滞在者(LTR)ビザ

富裕層や高所得者、高度専門人材などを対象とした最長10年間滞在可能な長期居住者ビザ。

まとめ ─ ビザを制する者がタイ就職を制す!

タイで働くためには、ビザと労働許可証の取得が最初の重要なステップです。「ビザって面倒くさそう」と思うかもしれませんが、ルールさえ知っておけば大丈夫。経験上、最初は大変!でもそこを乗り越えたら後は更新を繰り返すだけです。しっかり準備しておけば、その後の生活がぐっと楽になります。

タイでのキャリアをスムーズにスタートさせたいなら、まずは「ビザとワーパミの基礎を知ること」そして、自分の働き方や将来設計に合ったビザを選ぶことが、長く快適にタイで働くための第一歩です。

ビザ・労働許可証、外国人就業規制の詳細はこちらをご参照ください
JETRO日本貿易振興機構
現地在住ライター紹介
この記事を書いた人
カイシー

海外在20年以上、現在はバンコク拠点に生活。
幼少期より多国籍な環境で育ち、バンコクの日系・外資系の企業で勤務、国際結婚を経て海外での暮らしとキャリアを深めています。海外での就職や働き方、ローカルスタッフとの接し方など自身の経験をもとに発信中。

趣味はカフェホッピング、海外ドラマ鑑賞、気になることはすぐ飛びつくけど継続が苦手なINFJ。

カイシーをフォローする
タイ現地生活情報
ThaiScout(タイスカウト)
タイトルとURLをコピーしました