タイ移住を考えているけれど、「ビザや生活費は?」「どのエリアが住みやすい?」「仕事探しはどうすればいい?」と悩んでいませんか?
タイは温暖な気候やフレンドリーな国民性、豊かな自然や多彩なグルメなど、多くの魅力にあふれた国です。一方で、ビザの取得や現地での仕事探し、住居選び、医療事情など、事前に知っておきたいポイントや注意点もたくさんあります。
この記事では、タイ移住を検討されている方に向けて、ビザの種類や取得条件、住まい選び、仕事探し・給与相場、生活費の目安、さらには現地移住のメリットから、気をつけたいデメリットまで、現地在住者の視点で詳しく解説します。
タイでの新生活をスムーズに始め、理想のライフスタイルを実現するための情報をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
タイ移住の基本知識:ビザの種類と取得条件
タイ移住の第一歩は、適切なビザを取得することです。タイには様々な長期滞在ビザがあり、目的に応じて選択する必要があります。
主なタイ長期滞在ビザの種類と条件
ビザ名 | 主な対象者 | 特徴・主な条件 | 滞在可能期間 | 備考・参考 |
---|---|---|---|---|
観光ビザ (Tourist Visa) |
観光目的の渡航者 | 観光・短期滞在用。 延長可。 |
60日 (+30日延長可) |
シングル/マルチプル あり |
ビジネスビザ (Non-Immigrant B) |
就労、ビジネス、 商用 |
就労にはワークパーミットが必要 | 90日~1年 (延長可) |
雇用契約・招聘状など必要 |
教育ビザ (Non-Immigrant ED) |
学生、語学留学 | 学校・大学など教育機関で学ぶ場合 | 90日~1年 (延長可) |
入学許可証が必要 |
リタイアメントビザ (Non-Immigrant O-A/O-X) |
50歳以上の長期滞在希望者 | 一定の預金・収入要件あり | O-A: 1年 O-X: 5年 |
健康保険加入義務あり |
配偶者・家族ビザ(Non-Immigrant O) | タイ人配偶者・家族 | 家族帯同・結婚ビザ | 90日~1年 (延長可) |
結婚証明・家族証明が必要 |
エリートビザ(Thailand Elite Visa) | 長期滞在希望の富裕層 | 会員制・高額な費用 | 5年/10年/20年 | 空港VIP待遇など特典多数 |
SMARTビザ | 起業家、IT/科学分野の専門家 | スタートアップ 投資家、専門家等 |
1年~最大4年 | 家族帯同可 |
LTRビザ (Long-Term Resident Visa) |
デジタルノマド 富裕層、専門家 |
リモートワーク 投資家、退職者等 |
最大10年 | 収入や職歴等の条件あり |
DTVビザ (Destination Thailand Visa) |
18歳以上の外国人 デジタルノマド リモートワーカー、自営業、学び・体験者 |
2024年7月開始。 タイ国内企業での就労は不可。(リモートワーク・自営業、学び・体験はOK) |
最長5年 (1回180日、延長可) |
家族帯同可、申請料10,000バーツ |
タイのビザ制度は頻繁に変更されるため、最新情報を確認することが重要です。
また、90日レポートという滞在報告義務も忘れないようにしましょう。
タイ王国大使館の公式情報:https://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular_visa-index.html
タイでの住居選び:エリアと物件タイプの選択
タイでの住居選びは、生活の質を大きく左右します。エリアや物件タイプによって家賃や環境が大きく異なります。
バンコク主要エリアの特徴
プロンポン・トンロー

トンローエリア (引用:Pixabay)
日本人が多く住むエリアです。
日系スーパー、病院、日本食レストランなど、日本語が通じるお店が集中しており、日本人が暮らす上で最も便利な場所です。
特にプロンポンエリアはスクールバスの運行範囲でもあることから、駐在員家族が多く居住しています。ただし、大雨が降ると冠水するエリアでもあります。
こちらのエリアを選ぶ際は、できるだけ冠水の少ない場所を選ぶと良いでしょう。
チットロム・プルンチット
日本大使館をはじめ、アメリカやオーストラリアなど多くの大使館が集まる国際色豊かなエリアです。高級ホテルやオフィスビル、ショッピングモールが立ち並び、洗練された雰囲気が漂います。
治安も良く、外国人駐在員やビジネスパーソンに人気のバンコク中心部の一等地です。
サトーン・シーロム

サトーンエリア (引用:Pixabay)
日系企業も多いビジネス街で、通勤に便利な立地です。比較的単身、もしくはご夫婦の方が多く居住しています。
昼はオフィス街、夜は歓楽街という2つの面を持ちます。居酒屋、バー等が多く、人気の中華街やリバーサイドエリアへのアクセスも良いです。
オンヌット・プラカノン

プラカノンのランドマーク「W Market」 引用:公式HP
近年開発が進み、日本人が増加中の地域。バンナーやシラチャーなど、東の方面に勤務される方の多くは、こちらに居住されています。
ローカルの方も多く、家賃設定は比較的リーズナブルです。便利でありながら低コストで、タイのローカルな雰囲気も味わえる、最も勢いのあるエリアの一つとも言えます。
アソーク・ナナ
アソークは日本人が多く住むエリアとして知られています。一方、ナナ周辺は西洋、インド、アラブ、韓国、アフリカなど世界中から多様な人々が集まる、バンコク屈指の国際色豊かな地域です。多国籍レストランやショップも多く、異文化交流を楽しみたい方にもおすすめのエリアです。バーが多く賑やかです。
物件タイプと家賃相場
タイでは多くの物件が家具付きのため、日本と比べて引っ越しの手間が少なく、すぐに新生活を始められるのが大きな魅力です。
いずれの物件も、契約時には通常2ヶ月分のデポジット(保証金)が必要となります。
コンドミニアム

引用:Pixabay
現地採用で働く方に最も人気の住まいです。ほとんどの物件にプールやジムが併設されており、家賃は月1万バーツ(約4万円)から10万バーツ(約40万円)までと幅広く、さまざまな選択肢があります。
各部屋のオーナーが異なるため、内装や雰囲気もさまざまです。光熱費は電力公社や水道局へ直接支払うのが一般的です。
アパート

引用:Pixabay
全室同じオーナーが管理しており、家賃に電気代や水道代が含まれていることが多いのが特徴です。家賃相場は月3万バーツ(約12万円)から15万バーツ(約60万円)程度で、駐在員やファミリー層に人気があります。
サービスアパート

引用:Pixabay
ホテルのような清掃サービスや各種サポートが付いており、快適な生活を送ることができます。家賃はアパートと同様、月3万バーツ(約12万円)から15万バーツ(約60万円)が目安です。単身者に人気があります。
物件探しや契約は、オーナーまたは仲介エージェントを通じて行います。タイ移住が初めての方には、日本語対応可能な仲介エージェントの利用がおすすめです。
日系エージェントの多くは3~4万バーツ以上の物件のみの取り扱いとなることが多いです。
2万バーツ以下の物件は、下記のエージェントで紹介されています。
Capital Living:https://capitallivingbangkok.com/bukken/priceu20k_1.html
語学力に自信がある方は、「Hipflat」や「Renthub」などのサイトで物件を探し、現地のエージェントを通じて契約するのも良いでしょう。
また、オーナーが直接物件を掲載している場合もあり、その場合はオーナーと直接契約することで家賃を安く抑えられることもあります。
タイでの仕事探しと給与相場
タイで働くには、適切なビザと労働許可証(ワークパーミット)が必要です。
就職活動のポイント

引用:Pixabay
タイでの就職活動は、現地に来てからよりも事前に進めておくことをおすすめします。当記事掲載の求人サイト「タイスカウト」などを活用しましょう。
【タイスカウトHP】https://thaiscout.jp/
タイの労働市場では、日本語と英語のバイリンガルスキルが大きな武器になります。
就労ビザ取得には、大卒以上の学歴証明や、職種によっては専門資格が求められます。
以前は30,000~50,000バーツが現地採用月給の主流と言われていましたが、
2020年代以降、日本人向け求人の多くは50,000~80,000バーツがボリュームゾーンになっています。
職種や経験、語学力によってはさらに高い給与が提示されるケースも増えています。
タイの生活費と医療事情
タイの生活費は日本と比較して全般的に安いですが、住む地域やライフスタイルによって大きく異なります。
また、医療事情は都市部では非常に充実していますが、保険加入は必須です。
月々の生活費の目安(バンコク)

引用:Pixabay
住居費:1ベッドルームコンドミニアム 15,000〜30,000バーツ(約6〜12万円)
食費:現地食中心 10,000バーツ(約4万円)、日本食中心 20,000バーツ(約8万円)
交通費:BTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)利用で 3,000バーツ(約1.2万円)
通信費:インターネット+携帯電話 1,500バーツ(約6,000円)
水道光熱費:2,000〜3,000バーツ(約8,000〜1.2万円)
バンコクでの一般的な生活なら、月に5〜10万バーツ(約20〜40万円)あれば十分快適に暮らせます。
生活費を抑えたい場合は、現地食を中心にした食生活や公共交通機関の利用がおすすめです。
医療保険と病院事情

引用:Pixabay
タイには国際基準の優れた私立病院が多数あり、バムルンラード病院、サミティベート病院、バンコク病院などは日本語対応も可能です。
しかし、医療費は日本の自己負担分より高額なため、必ず海外医療保険、もしくは現地の医療保険に加入しましょう。
一般的な風邪の診察で1,000〜2,000バーツ(約4,000〜8,000円)、入院となると1日あたり10,000バーツ(約4万円)以上かかることもあります。
主な現地保険は下記の2社で、筆者も加入しています。日本語対応なので安心です。
アリアンツ・アユタヤ保険
Insurance 110 バンコク支店
タイ移住のメリット・デメリットと対策
タイ移住には多くの魅力がありますが、現実的にはデメリットも存在します。事前に知っておくことで、適切に対策を立てることができます。
メリット
1. 生活スタイルによってはコストを抑えやすい
ローカル食堂や市場を利用すれば、食費や日用品の出費は日本より安く済む場合が多いです。
2. 公共交通や一部のサービスは安価
BTSやMRTなどの公共交通、タクシー、マッサージ、クリーニングなどは日本より割安感があります。
3. 住居の選択肢が豊富
家賃はピンキリですが、郊外やローカルエリアを選べば手頃な物件も多く、家具付き物件が多いので初期費用を抑えやすいです。
4.温暖な気候と豊かな自然
一年を通して温暖な気候が続き、ビーチリゾートや自然豊かな地方都市にも気軽にアクセスできます。冬の寒さが苦手な方には特に魅力的です。
5.旅行・レジャーの選択肢が豊富
タイ国内はもちろん、近隣の東南アジア諸国へのアクセスも良く、手軽に旅行や週末トリップを楽しめます。観光地やリゾートも豊富です。
6.フレンドリーな国民性
タイの人々は「微笑みの国」と呼ばれるほど親しみやすく、外国人にも寛容です。現地の人との交流も楽しみの一つです。
デメリット
1. ビザ更新の煩雑さ
長期滞在ビザの更新や90日レポートなど、定期的な手続きが必要です。期限管理を徹底するか、専門のエージェントを利用することも一案です。
ビジネスビザの場合は、会社によっては人事部でサポートしてくれるケースも多いです。就職時に確認しましょう。
教育ビザの場合は、通う学校がビザ発給に必要な所定のレターを発行してくれるかを必ず確認しましょう。
2.都市部の物価上昇
バンコクなど都市部では、家賃や外食費、日本食材・輸入品、カフェなどは日本と同等か、場合によっては日本より高いこともあります。
3. 日本と同じ生活水準を求めると割高になりがち
日本食レストランや日本ブランドの商品、輸入品を多用する場合、生活コストはむしろ高くなることがあります。
4. 生活必需品やサービスの質に差がある
安いサービスや商品は品質や快適さが日本と異なる場合もあり、慣れるまでストレスを感じることも。
まとめ
以上、タイ移住の基本的なガイドを解説しました。
タイ移住に関するブログやSNSでは、タイ生活の魅力が多く紹介される一方、実際にはデメリットや注意点も存在します。タイ移住を計画する際は、現実的な課題やリスクも十分に理解し、バランスの取れた情報収集が重要です。
近年はバンコクなど都市部で物価上昇が進んでいますが、給与水準も上がってきており、生活スタイルによっては日本と同等、あるいはより余裕のある暮らしを実現できるケースも増えています。
タイ移住を検討されている方は、メリットだけでなくデメリットや注意点も踏まえたうえで、ご自身に合ったライフスタイルを見つけてくださいね。
本記事が、タイ移住やタイ生活を考えている方の参考になれば幸いです!