バンコクは中華料理の宝庫です。
タイに住んで4年以上、数え切れないほどの中華レストランを訪れてきた私が、バンコクの中華料理を徹底解説します。
本場の味を求める方からタイ風にアレンジされた中華料理を楽しみたい方まで、あらゆるニーズに応える情報をお届けします。
バンコクの中華料理の歴史と特徴
バンコクの中華料理の歴史は、タイへの中国人移民の歴史と深く結びついています。19世紀から20世紀初頭にかけて、多くの中国人(特に広東省、福建省など)がタイに移住しました。彼らは自国の料理文化を持ち込み、次第にタイの食文化と融合させていきました。
バンコクの中華料理の最大の特徴は、「本格的な中華料理」と「タイの食文化と融合したローカル中華料理」の両方が存在することです。高級ホテル内のレストランでは北京ダックや点心などの伝統的な中華料理を提供し、ヤワラート(バンコクのチャイナタウン)では、タイ人の舌に合わせた独自の進化を遂げた中華料理を味わうことができます。
特に注目すべきは「ヤワラート」エリアで、これらの地域は中華系タイ人のコミュニティが強く、最も多くの中華料理が集まっています。バンコク在住者として言えるのは、タイの中華料理は単なる「中国料理」ではなく、何世代にもわたる文化交流の産物であり、その多様性は他のどの国の中華料理とも一線を画しています。
ヤワラート(バンコクのチャイナタウン)

筆者撮影
バンコクの中華料理の聖地とも言えるエリアで、200年以上の歴史を持つタイ最大のチャイナタウンです。タイと中国の文化が融合しているエリアで、ネオンサインが輝く夜の通りは特に活気があり、路地裏の屋台から老舗レストランまで幅広い選択肢があります。
バンコクで絶対に訪れたい人気中華レストラン
バンコクには数え切れないほどの中華レストランがありますが、現地在住者として特におすすめしたいお店を紹介します。どのレストランも独自の魅力を持ち、バンコクの中華料理シーンの多様性を体験できます。
鼎泰豊(ディンタイフォン)

引用元:ディンタイフォン公式Instagramより
鼎泰豊(ディンタイフォン)は小籠包の世界的な名店。台湾発祥の点心料理店です。
ニューヨークタイムズ紙で「世界の10大レストラン」にも選ばれています。

引用元:ディンタイフォン公式Instagramより
小籠包だけでなく海老チャーハンも人気!
メニューには日本語もあるのでとても助かります。
店舗:セントラルワールドをはじめ、5店舗あります。
和成豊(フアホンセン)

筆者撮影
和成豊(フアホンセン)はコスパよくフカヒレが食べることができるヤワラートの人気レストランです。
いつ行っても多くのタイ人で賑わっていて、ほどよくローカル感を感じるレストランですが冷房もあるので助かります。

筆者撮影:ふかひれスープ
海老シュウマイや肉まんなどの点心メニューも豊富で美味しい!

筆者撮影
お持ち帰りの販売も店頭でしています。
ヤワラート通りのど真ん中、その他デパート内にも店舗あり公式ホームページ
シェフマン(文苑)
シェフマン(文苑)は広東料理の高級中華料理店で、タイ人の富裕層に人気です。

引用元:シェフマン(文苑)公式Instagramより
ランチは夜に比べて比較的行きやすい金額で、飲茶を楽しむことができます。
店舗:イースティングランドホテル・サトーン店、他2店舗
紅包(ホンバオ)

引用元:紅包(ホンバオ)公式Instagramより
紅包(ホンバオ)は広東料理レストランです。タイ在住の日本人だけでなく中国人も多く通うお店。
大切な記念日や会食などにも人気のお店です。
本場香港式の点心が有名で、アワビやフカヒレなどの高級食材も楽しめます。
家族で行ける町中華料理店
大連飯店
大連飯店は大連出身のオーナーさんが腕を振るうお店です。
中国北部の家庭料理が100種類以上楽しめます。

引用元:大連飯店 公式Instagramより
日本人に人気のメニューは羽根つき餃子。もちもちの皮で作られた餃子が絶品です。
店舗:プロンポン店(スクンビット33)
点心ホーチアチュムポーン

筆者撮影
美味しくてお手頃価格で点心を楽しみたいなら点心ホーチアチュムポーンがおすすめ。
近くにOne Bangkokもあるエリアにあります。

筆者撮影:ケースの中にある中から好きなものを選びます
店先の冷蔵庫から食べたい点心や揚げ物などを選ぶと、その場で揚げたり蒸してくれます。
オススメは中にカニやエビが入っている湯葉揚げや小籠包、ハーガオ(海老の蒸し餃子)など。
どれを食べてもとてもおいしいですよ!
らぁめん亭
らぁめん亭は1983年創業。日本の町中華が食べられる人気店です。

筆者撮影
日本人好みの味でレバニラ炒め、酢豚などのメニューが食べられます。
阿光
筆者おすすめの中華料理店はプラカノンエリアにある阿光です。

引用元:Google mapより
W Districtというオープンエアでいろいろなお店が集まるところにあるお店の一つなのですが、フードデリバリーのバイクがひっきりなしに来ている隠れ人気店。

引用元:公式Grabより
おすすめは四川風蒸し鶏、麻婆豆腐、トマト卵炒め、ひき肉とナス炒めです。
バンコクで楽しむ中華料理の種類と特徴
バンコクでは様々な地方の中華料理を楽しむことができますが、特に以下の料理スタイルが人気です。タイに長く住んでいると、これらの料理の微妙な違いや特徴がわかるようになります。
広東料理
バンコクの中華料理の主流で、点心や海鮮料理、炒め物が特徴です。素材の持ち味を活かした薄味の料理が多く、蒸し料理や炒め料理が中心です。特に点心文化はバンコクに深く根付いており、週末の朝はディムサム(点心)を楽しむ家族連れで賑わいます。

筆者撮影
<おすすめメニュー>
シウマイ(焼売)、ハーガオ(海老の蒸し餃子)などの点心
チャーシュー(叉焼)
海老のチリソース炒め
フカヒレ料理
四川料理
唐辛子や山椒の辛さと痺れる味が特徴の四川料理も、辛い味付けを好むタイ人の間で人気です。

引用元:阿光 公式Grab
<おすすめメニュー>
麻婆豆腐
回鍋肉
チンジャオロース
担々麺
福建料理
あっさりとした味わいと海鮮料理が特徴の福建料理。タイの中華料理の中でも特に地元の味に近いアレンジが施されていることが多いです。

ホッケンミー(福建麺)引用元:タイ政府観光庁公式HPより
<おすすめメニュー>
オイスターオムレツ
福建麺
海鮮粥
五目炒飯
タイ風中華料理(中華系タイ料理)
数世代にわたってタイで暮らす中国系タイ人によって発展した独自の料理スタイルです。中国の調理法にタイの食材や香辛料を取り入れた独特の味わいが特徴です。

ラートナー(あんかけ麺):筆者撮影
<おすすめメニュー>
バミーナームデーン(タイ風チャーシュー麺)
クイッティアオルアッ(牛肉のタイラーメン)
ラートナー(あんかけそば)
バミーコンセリー

筆者撮影
バミーコンセリーは蟹チャーハンや甘い味付けの中華ソーセージ、バミー(卵麺のタイ風ラーメン)が人気のタイ風中華料理のお店。
チャーシューだけでなく、ローストダックやワンタン、カニのトッピングができます。
朝から地元の人々や観光客で賑わっています。
バンコクの中華料理と本場中国の違い
バンコクの中華料理は、以下の点で本場中国の料理と異なる特徴があります。
甘さの増加:タイ人の好みに合わせて全体的に甘めの味付けになっていることが多い
ハーブの使用:タイのハーブ(コリアンダー、ホーリーバジルなど)が加えられることがある
辛さの調整:四川料理でも本場ほど辛くなく、タイ人好みの辛さに調整されている
魚醤の使用:中国の醤油に加えて、タイの魚醤(ナンプラー)、タオチアオ(タイの大豆発酵調味料)が使われることがあります。
バンコクの中華料理を最大限楽しむためのポイント
バンコクで中華料理を楽しむため方法をご紹介します。4年以上バンコクに住み、数え切れないほどのレストランを訪れた経験から、最大限楽しむためのポイントをお伝えします。
訪問時間と予約について
・人気店は週末のランチタイム(11:30-13:00)と夕食時(18:00-20:00)は非常に混雑します。
・高級中華レストランは必ず予約を(特に北京ダックは前日までの予約が必要な店が多い)!
・ヤワラート(チャイナタウン)は夜市が始まる18時以降が最も活気があり、食事と観光を兼ねるなら夕方訪問がおすすめです。
・点心レストランは朝早く(開店直後)か、遅めのランチ(14時頃)がねらい目です。
注文のコツと食べ方
初めての店では定番メニューからチャレンジするのが無難(特に看板メニューは外れが少ない)です。
タイの中華レストランでは4人以上のグループだと「シェアセット」があることが多く、大人数の方がいろいろなメニューを楽しめます。
点心レストランでは最初に2〜3種類を注文し、追加で頼むのが良し!

引用元:タイ国政府観光庁公式HPより
タイラーメンの麺は「センミー」(極細麺)、「センレック」(細麺)、「ウンセン」(春雨)、「センヤイ」(平太麺)、「バミー」(黄色い卵麺)から選べます。お好みの麺を注文しましょう。
支払いとチップ
高級レストラン以外は現金払いが基本です。(最近はQRコード決済も普及!)
サービス料が含まれているレストランはチップ不要。
屋台や庶民的な中華料理店では、お釣りの小銭をチップとして残す程度で十分。
言語と注文の際のフレーズ
バンコクの中華レストランでは、タイ語が主流です。
簡単な注文フレーズを覚えておくと便利です。
「アロイ マーク」(とても美味しい)
「マイ ペット」(辛くない)
「ペット ニットノイ」(少し辛く)
「ヤン マイ マー」(まだ(注文品)が来てません)
「コップクン」(ありがとう、男性/女性)
「チェックビン」(お会計お願いします)
※どのフレーズにも最後にクラップ(男性)/カー(女性)をつけると丁寧な言い方になります。
まとめ
中国からの移民が多くいるタイ。現在でもその移民の2世・3世が多く生活しており(華人:中華系タイ人)中国の文化を併せ持ちつつ現在もタイで生活している人々が多くいます。
タイの財政界で活躍している人の多くも中華系のタイ人だったりするというのもバンコクに住んで知りました。
バンコクは世界各国の料理を食べられる美食エリア!
フカヒレやツバメの巣など高級食材も日本で食べるよりもお手頃価格で楽しむことができるので、バンコクへ旅行に来た方にはこれらのメニューもオススメです。
昼間も夜もとても楽しい「ヤワラート」はタイと中国の文化を併せ持った魅力的なエリアなので、ぜひ機会があれば訪れてみてくださいね!