タイへの転職や海外赴任が決まり、家族と一緒に移住する方にとって、まず気になるのが子どもの教育環境ではないでしょうか。
現地には、日本人学校・インターナショナルスクール・ローカル校といったさまざまな選択肢があり、「我が子にあう学校はどこなのか?」と迷うご家庭も多いことでしょう。
今回は、バンコク在住11年の筆者が、自身の経験をもとに、タイの学校事情をわかりやすく解説します。
教育面で不安を感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
バンコクの学校の選択肢
タイの首都バンコクには、日本人学校・インターナショナルスクール・ローカル校と様々な教育機関があります。日本人家庭の多くは、日本人学校またはインターナショナルスクールを選ぶ傾向がありますが、それぞれに特徴や違いがあり、どの学校を選ぶかは家庭によって異なります。
特にインターナショナルスクールはバンコクだけでも160以上もあり、カリキュラムの種類や教育方針、学費の幅も広いのが特徴です。
この記事では、日本人学校とインター校、ローカル校の違いや、メリットデメリット、学校選びのポイントを詳しくご紹介していきます。
日本人学校の特徴と注意点
タイには、日本人の子ども達が通う「日本人学校(正式名称:泰日協会学校)」があります。
バンコク校は、世界でも歴史のある日本人学校のひとつとして知られており、小学部と中学部で構成されています。姉妹校として、シラチャーにも日本人学校があり、シラチャー在住の日本人家庭はそちらに通うことが一般的です。
現在、バンコクには約7万人の日本人が暮らしており(世界で第5位の多さ)、バンコク日本人学校の生徒数は約2,000人と非常に規模の大きな学校になっています。
カリキュラムは日本の文部科学省の指導要領に準拠しており、国語、算数、理科、社会の基本教科はもちろん、海外ならではの「国際交流」や「タイ語・英語」の授業も取り入れられています。
さらに、2024年から国際的な教育プログラムであるIB(国際バカロレア)も導入され、より多様な学びの機会が広がっています。
日本と同じ教育を受けられる安心感から、特に「日本語力を重視したい家庭」や「日本に帰国予定のある駐在家庭」に人気があります。
日本人学校の学費(目安)
項目 | 費用(バーツ) | 日本円目安 |
入学金 | 160,000バーツ | 約68万円 |
授業料(1学期) | 58,400バーツ | 約25万円 |
授業料(2学期) | 58,400バーツ | 約25万円 |
授業料(3学期) | 29,200バーツ | 約13万円 |
バス通学(学期ごと) | 約27,000バーツ | 約11万円 |
※1バーツ=4.25円で計算
日本人学校といえども、タイでは”インター校”という扱いになるので、学費は日本の公立学校より高額になります。それでも、日本語による教育、日本と同様の学習内容を維持したいという方にとっては最適と言えるでしょう。
注意点
注意点としては、バンコク日本人学校は「中学部」までしか設置されていないことです。高校進学のタイミングで、日本に帰国するか、バンコク市内のインターナショナルスクールに編入する、もしくは日本の高校とつながる通信教育を利用するなど、次の進路を見据えた準備が必要になります。
「海外でも日本と同じように学ばせたい」「いずれ日本に戻る予定がある」そんなご家庭にとって、日本人学校は安心して通わせられる選択肢といえるでしょう。
日本語での授業、文科省に準拠したカリキュラム、慣れ親しんだ学習スタイルは子供にとって安心材料になります。
ただし、中学部までしかないことや、インター校扱いになる学費の負担なども事前に考慮しておきたいポイントです。
次は、より多様な学びや国際的な環境を重視したい方向けに「インターナショナルスクール」についてご紹介していきます。
インターナショナルスクールの特徴と選び方
バンコクには、なんと160以上のインターナショナルスクールがあります。採用しているカリキュラムや生徒数、対象学年の範囲、学費の幅などは学校によって大きく異なり、初めての方にとっては「どこを選べばいいの?」と悩んでしまうかもしれません。
インターナショナルスクール選びでは、お子さんの個性や将来の進路、各家庭の教育方針に合った学校を見極めることが大切です。
国際的な環境や教育方針を重視するご家庭が、自分たちに合ったインターナショナルスクールを選べるよう、基本的なポイントを分かりやすく解説していきます。
迷わないために知っておきたい!インター校のカリキュラム事情
インターナショナルスクールでは、学校によって採用しているカリキュラムが異なります。特に多くの学校が導入しているのが、以下の3つのカリキュラムです。
- アメリカ式カリキュラム「APプログラム」
アメリカの高校生が大学レベルの授業に挑戦できる制度で、進学に有利とされます。 - イギリス式カリキュラム「Aレベル」
専門科目を深く学び、大学入学資格として世界中で認められているプログラムです。 - 国際バカロレア「IBプログラム」
世界共通の基準で幅広い知識と考える力を養う教育プログラムで、グローバル進学にも強みがあります。
それぞれのカリキュラムには特徴があり、学び方や将来の進路にも大きな影響を与えます。お子さんにとって何が一番良いのか、ご家庭の方針や将来のビジョンに合わせて、慎重に学校選びをすることが大切ですね。
また、インターナショナルスクールでは、受け入れている対象学年にも違いがあります。次は、対象年齢や学年についてみていきましょう。
進級や転校も考慮!インター校の対象学年を理解しよう
インターナショナルスクールは、受け入れている対象学年が学校ごとに異なります。
多くの学校は、プライマリー(小学部)からハイスクール(高校)までをカバーしていますが、学校によってはプライマリー(小学部)のみ、もしくは、セカンダリー(中等部)までの教育を行っている場合もあります。
そのため、お子さんが進級を続けられるか、または、他の学校に転校する必要があるかなど、将来を見据えた学校選びが大切です。進級や転校の可能性も含めて、しっかりと検討することをおすすめします。
そして、対象学年の選択とともに重要なのが、学費の計画です。インターナショナルスクールでは学年が上がるにつれて学費が増加することが一般的で、特に高校段階では、学費が大きく変動することがあります。
これを理解していないと、途中で通わせることが困難になってしまう場合も発生します。
長期的な教育費用を考慮し、どの学校が自分たちの予算に合っているかを見極めることが大切でしょう。
次にバンコクのインターナショナルスクールの学費について、詳しく解説します。
教育費用を知ろう!インターナショナルスクールの学費事情
インターナショナルスクールは、学費に幅があります。リーズナブルな学校では年間20万バーツ(約100万円)程度から始まり、高額な学校では年間100万バーツ(約500万円)を超えることもあります。
学校の種類やカリキュラム、学年によって学費が異なるため、各家庭の予算やニーズに合わせた学校選びが求められます。
学費以外にもバス代、施設利用料、英語学習クラス(EAL)、ランチ代、アフタースクール(放課後習い事)、制服代、イベント料金などがかかります。
特に、日本から転入するお子さんにとって、英語学習クラス(EAL)は、必須となることが多いので、事前に必要な費用をチェックしておくと安心です。
年間を通してかかる費用をしっかりと計算し、将来の学費や追加費用を把握したうえで、学校選びすることをおすすめします。
タイには多種多様なインターナショナルスクールが存在し、それぞれに異なる教育方針やカリキュラムが採用されています。海外でインターナショナルスクールに通うことで、子供の視野は広がり、国際的な経験を積むことができるので、将来の可能性を広げる大きなチャンスとなります。
しかし、学費や教育方針、文化の違いなどデメリットも存在するため、どの学校を選ぶかは慎重に考えるべきです。どの学校を選ぶにしても、早めに情報収集をし、家族全員が納得できる学校選びを進めていくようにするのが良いでしょう。
最後にタイのローカル校について解説します。
ローカル校の魅力と注意点
タイのローカル校は、外国人でも入学できる学校があります。学費がリーズナブルで、タイ語と英語をバランスよく学べる点が魅力です。
ただし、いくつかのハードルがある点も理解しておく必要があります。まず、公立のローカル校は外国人の受け入れをしていないため、私立校を選ぶことになります。
私立校の中でもイングリッシュプリグラム(EPクラス)を提供している学校に限られることが多く、入学するためには試験を求められることが一般的です。さらに、タイの私立校への入学には、試験対策として塾に通う家庭も多く、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。
また、ローカル私立校ではタイ語が必須となります。親子共にタイ語を話せることが大きな要件となるため、入学を検討する際にはタイ語に関しても事前に学習を進めておくことが必要です。
タイでの学校選びは将来を見据えての検討が大切!
タイには多くの学校があり、どの学校を選べばよいか迷ってしまうのは当然のことです。
親としては、我が子に最適な環境を提供したいと思うのが自然な事ですが、海外で生活する中では、将来を見据えた学校選びが特に重要です。
教育スタイルや進学先、生活の質を考慮し、しっかりと準備を進めていく事が、子供の成長に大きな影響を与えます。
どの学校が一番ふさわしいのかは各家庭で異なりますが、タイでの教育に関する情報をしっかり把握しながら最適な選択をしていきましょう。
今回の記事がタイでのお子様の学校選びの参考になっていましたら嬉しく思います。